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今年のマシンから装着が義務に。HALOって何のための装置?

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今年のF1マシンを見た方は、どこかに違和感を覚えなかったでしょうか。その違和感の正体はコクピットを覆うように設置されたHALO(ハロ若しくはヘイロー)という装置です。今回は賛否両論を巻き起こしているHALOという装置について解説します。

HALOは何のための装置か

Formula1-data.comより 

HALOの装着理由
それにはフォーミュラカーの構造が深く関係しています。フォーミュラカーは写真のようにドライバーの頭部がむき出しになっています。それゆえにこの部分に重量物が直撃すると、ドライバーは極めて危険な状態になります。過去10年間においても

①2009年の下位カテゴリーでのレースにおいて他車から外れたタイヤがドライバーに直撃、そのドライバーは死亡してしまう。

②2009年のF1ハンガリーグランプリにおいて前走車から落下した部品が後走車のドライバーに直撃、一時意識不明の重体となる。

③2015年の日本グランプリにおいて雨の中での走行中、コントロールを失ったマシンが撤去用の重機に衝突、マシンが重機の下に入り込む形になってしまい、ドライバーは重体の後に死亡してしまう。

という3件の重大事故が発生しています。94年のセナの事故死以降、モータースポーツ界は安全対策に力を入れてきましたが、ドライバーの頭部がむきだしという形がフォーミュラという車体の根幹であるために対策が遅れていた分野でした。その分野に対応する為にF1の運営団体が出してきたものこそがHALOだったのです。

HALOで事故は防げるのか?

上記のような事故を防ぐため、今年からHALOの装着が義務付けられました。しかし、関係者やファンからは不評です。その理由としては

①単純に格好が悪い、またヘルメットが隠れてしまうため、外部からだれが運転しているのか視認が難しい。

②HALOでは前章の①の事故は防げるが②のような事故は防げない。③の事故も相手の重量によっては防げない。

③HALOによってドライバーの脱出が妨げられる可能性。運営団体は正しい手順ならば脱出は容易としているが、緊急時に正しい手順を守れる可能性は低い。

の3つが挙げられます。運営団体は「HALOはとりあえずの措置であり、今後変更の可能性はある」としていますが、これまでの歴史を鑑みるに、重大事故が発生し、HALOでは事故は防げないと判明しない限り、そのまま行くのではと思います。

HALOの問題、それは突き詰めれば安全とエンターテイメント性のせめぎあいです。安全を重視してドライバーのヘルメットなどの個性を観客から隠すのか、エンターテイメント性を重視してオープンにするのか、運営団体は難しいかじ取りを迫られています。F1を観戦する際は、自分はどちらを重要視するのかを考えながら観戦することも重要ではないかと思います。

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