野球

上原浩治ー衰えぬ野球への情熱ー

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頼れる男が帰ってきた。10年にわたり野球の最高峰メジャーリーグで活躍し、2013年にはレッドソックスでワールドチャンピオンに輝いた上原浩治のジャイアンツ復帰が決定。盟友である高橋由伸監督のもと、昨季不振に陥った古巣の再建を担う。

「メジャー以外なら引退」から一転、古巣への復帰が決定

昨年12月にはメジャーで移籍先が見つからなければ引退と話していた上原だが、来期は古巣ジャイアンツのユニフォームを着ることが決定した。気持ちが翻意した理由とはなんだったのか。

復帰決定の入団会見で上原は「野球がしたいという気持ちが一番強かった」と語っている。そして、「メジャーでのオファーをずっと待っていたが、あまりいい話がなく、迷っていた時にジャイアンツから話をもらった」とも語っている。

予想ではあるが、上原クラスの選手ならマイナー契約の話は複数来ていたのではないか。その中で、自身の年齢的な部分や残りの野球人生を考慮して、魅力の感じるオファーがなかったのではないかと思う。

それに合わせ、メジャーリーグの移籍市場が停滞していることも、上原には味方しなかったのだろう。通常ならオファーを受けれる状況でも、市場全体の低迷によりオファーがなかったことで、野球ができない状況に追い込まれそうになった。野球ができないことが、逆に野球への情熱を呼び覚ました。

そして古巣から入団の打診を受け、翻意するに至ったのではないかと思う。

いずれにせよ、上原の経験と実績を考えれば、現役で十分活躍できると思うし、まだまだやれると思っての決定だと思う。入団会見で見せた熱意をマウンドで見せてくれるだろう。

求められる実績以上の貢献

メジャーでの実働は10年。通算して436試合に登板し22勝26敗95セーブと輝かしい実績を残した。特筆すべきは防御率で、10年間で2.66とメジャーの強打者相手に抜群の安定感を誇った。急速はないが回転数の高いファストボールや、空振りを取る、タイミングを外すといった目的に合わせ投げられる変化球の豊富さなどは一級品。間違いなく、シーズンを通して重要な役割を担うはずだ。

そしてそれ以上に求められる役割としては、やはり若手の見本になるということだろう。昨シーズンのジャイアンツで2桁勝利を挙げた選手は、菅野、田口、マイコラスの3人。チーム防御率ではリーグ2位と一定の成績を残したが、活躍した若手投手は田口のみというのは寂しい。

2014年以来の優勝を狙うためには、若手の活躍が絶対条件となる。シーズンを通しては4位に終わったが、昨季、終盤戦で活躍した畠や伸び悩んでいる印象の宮国等の若手選手の良い見本となり、若手の育成にも積極的に関わっていってほしい。

同じように2015年メジャーから復帰した黒田は、自身も活躍しつつ、その後の広島の躍進に貢献。野村や薮田といった選手は球界を代表する選手までに成長した。上原にも同じような役割が期待される。

上原にふさわしい花道を

上原の実績を見れば、本人が満足いくところまで現役を続け、引退のタイミングは本人に委ねても良いように思う。それだけの功績を積み重ねてきたレジェンドだ。ただ上原に残された現役の時間は短い。

本人もそれを自覚している。だからこそ、全力プレーでチームを引っ張っていってくれるはずだ。そしてジャイアンツの選手には、上原の技術を盗み、追いつき追い越せで奮起を期待したい。優勝で花道を飾った広島・黒田のように、上原にも優勝して引退というシナリオが似合う。そして優勝決定のマウンドには、気迫で打者を打ち取った上原がいれば最高だ。

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