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サッカー日本代表 退屈に終始したマリ戦

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仮想セネガルと位置づけられたマリとの親善試合。試合内容は単調に終始し、選手選考の面でも新たな発見は少なかった印象だ。

浮き彫りになった指揮官と選手の溝

戦術面で、特に攻撃においてゴールに迫れない。枠内シュートはあっても決定力に欠け、崩しの部分でもバリエーションの少なさを露呈してしまった。この日FWに入った大迫のポストプレーに活路を見出そうとしたが、戦術的に一辺倒になってしまったのは否めない。指揮官のビジョンと選手の理想が合致していないような感じだ。

事実、試合後のコメントでDF槙野は「日本の、自分たちの良さは何かを考えながら試合を進めていくならばショートパスが必要だった。チームとしてどう戦っていくのかを明確にしないと」と危機感を募らせた。ロングボールや大迫のポストプレーのみでは攻撃にバリエーションがでないということなのだろう。日本ではショートパス主体のサッカーが根付いているし、技術的な部分でもそれを体現できる選手は多い。

しかし、世界のトップチームと対峙したときに、ポゼッションスタイルには限界があることも過去の戦績からは明らかだ。例えば、スペインやドイツ、ブラジルといった世界の強豪相手ではボールすら持たせてもらえない。

その事実を考えたときに、ハリルホジッチ監督は強者を見越した戦術に移行しようとしているのではないか。日本の理想とするサッカーでは勝てないと見込み、勝てる戦術を試行しているのではないか。理想を追い求める選手と、現実主義を求める指揮官とで溝ができてしまった感は否めない。

敵を崩す創造性とリスクを恐れないプレー


戦術的な一貫性もさることながら、選手個人のプレーにも注文がつく。現代のサッカーは守備陣系をコンパクトに保つため、パスだけで陣形を崩すのは不可能に近い。

相手の守備を崩すには、創造性のあるプレーやリスクを恐れない仕掛けが必要不可欠だ。そして、残念ながらマリ戦ではそのようなプレーはほぼなかった。ドリブルで相手を抜き去ることもなければ、相手の裏をかくようなプレーもない。そんな状況ではゴールの期待は持てないし、見ていて思わず唸るようなこともない。

だが日本に人材がいないとは思わない。実力証明とはいかなかったが、森岡や大島は相手を崩す創造性を持っているし、今回召集されなかったが香川も決定的な仕事をやってのけられる選手だ。また、サイドでも宇佐美や原口、久保などは1対1で相手を抜き去るスピードと技術を持っている。チームとして規律がある中でも、選手が自由にプレーを選べ、恐れずに相手に向かっていく雰囲気を作りあげることが重要だ。

一体感のあるサッカーを

W杯開幕まで3ヶ月あまり。時間が少ない中で技術的な進歩は見込めない。しかし、戦術に幅を持たせ、思い切ったプレーが出せる雰囲気作りはできるはずだ。その意味でも27日のウクライナ戦を足がかりにしてもらいたい。

W杯期間中は、日本中が代表を応援するだろう。そんなサポーターと一体感を共有できるプレーを見せてほしい。長らく日本代表を支えた本田や長谷部などは最後のW杯になる可能性が高い。

であれば、若い選手を引っ張り、見ているものをわくわくさせるようなプレーに導いてくれることを期待したい。そして4年に1度のW杯を悔いのない形で終えてほしい。

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