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西岡良仁選手 vs ナダル選手 分析してみた~シリーズ④~

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こんにちは。テニス大好きタマジです。

錦織選手に次ぐ日本のナンバー2西岡良仁選手、グランドスラム本戦へも進出し、強豪選手と大熱戦を展開している。まだツアーでの大きな勝ち上がりはないが、その可能性を大いに秘めた期待の選手だ。

その西岡選手が過去に対戦した強豪選手との試合ぶりを振り返り、小柄ながら素晴らしいパフォーマンスを発揮している西岡選手の強さに迫る。

2017年アカプルコ準々決勝

2017年3月、西岡選手はアカプルコのメキシコオープンATP500グレード大会に出場、予選からの厳しい戦いとなったが、予選ではツアー優勝を達成して乗っていたハリソン選手などを破って本選入りする。

1回戦では第7シード、当時の世界ランキング18位アメリカのジャック・ソック選手を3-6、6-2、6-1の逆転で破る。2回戦では、当時世界79位ジョーダン・トンプソン選手をこれもフルセットの末、6-4、3-6、6-0で撃破し、見事準々決勝に進出する。

そして準々決勝で西岡選手に立ちはだかったのは、当時の世界6位、この大会第2シードのあのラファエル・ナダル選手である。

2017年といえばナダル選手が復活を遂げ、全豪では同じく復活したフェデラー選手と決勝を争ったのが記憶に新しい。そして2017年後半から2018年前半にかけて、ナダル選手は破竹の快進撃をみせるわけだが、ちょうどこの大会はその直前といったところであった。

そのナダル選手に対して、西岡選手はどんな試合ぶりをみせたのであろうか?

ナダル選手戦戦況1

両選手ともサウスポー、フォアハンドはスピンを多用し、バックハンドは早いタイミングのフラットドライブ系カウンターショットを持つ。

西岡選手はナダル選手に憧れていると本人が語る通り、プレースタイルは似通った面がある。
第一セットは、西岡選手がストローク戦で一歩も引かず、ナダル選手のミスを誘い、見事なドロップショットを決めるなど、互角の展開で進む。

そんな中、先に西岡選手がブレークに成功し、あのナダル選手に対して、先行するのである。もしかしたらの雰囲気を漂わせた。

しかし過去に何回も、いや、何百回も窮地を切り抜けてきているナダル選手、そうやすやすとはセットは渡さない。

西岡選手はサーブでポイントを取るというよりは、ストローク戦からの展開でゲームを進めていくタイプである。したがって、ブレークされる確率もやや高い。案の定、ナダル選手にブレークバックを許し、タイブレークに持ち込まれる。

こうなると「超」のつく集中力を発揮するナダル選手、タイブレークは西岡選手を圧倒し、7-2と第一セットを先取する。

ナダル選手戦戦況2

第一セットを失った西岡選手だが、ほめるべきはパフォーマンスが落ちなかったことだ。

こういった「超」一流選手との対戦では、下位ランカーがきわどいところでセットを落とした後は、流れをつかまれ、一気に一方的な展開に持ち込まれてしまうシーンをよく見る。

しかし西岡選手のメンタルは素晴らしく、自分の信じられるプレーに徹し、第二セットも互角に展開していく。

そしてブレークを先行するのである。いつも全力プレーのイメージが強いナダル選手だが、さすがにここではギアを上げた感がある。その後、ブレークバックに成功すると、さらに2ブレークアップして6-3で西岡選手を退けた。

ナダル選手戦分析

西岡選手の対ナダル選手戦スタッツを分析すると、今後の西岡選手課題が浮き彫りになってくる。

  • サービスエース ナダル5 西岡0
  • ファーストサーブ確率 ナダル59% 西岡70%
  • ファーストサーブ得点率 ナダル80% 西岡61%

プレースタイルはやや似通っている両選手だが、サーブ力という面でまだまだ差があるようだ。西岡選手は若いころのナダル選手のイメージであろうか?スライス回転でワイドに切れるサーブを武器にスピードでサービスポイントを取るよりは、その後の展開が有利になるようにサーブを打ち込むタイプだ。

このタイプの選手には、強靭なフィジカル、そしてグランドスラムを想定すれば5セット戦っても落ちないフットワークが要求される。

ナダル選手は年齢を重ねるとともに、サーブ力を徐々に上げていき、武器であるフォアハンドトップスピンボールをそのままに、サーブでもポイントを取れる、また圧倒的有利な展開を作り上げてネットで仕留める、早いタイミングでのショットなど、すべてフィジカルに頼らない試合運びに変貌してきた。

西岡選手も目指すべきはそこであろう。

しかし、世界のトップ中のトップ選手との対戦でのこれだけの大善戦により、西岡選手が大いに自信を深めたことは間違いない。

映像分析

https://www.youtube.com/watch?v=F6iJwR_rmmo&t=4s

0’06”付近から

第一セット3ゲーム目のナダル選手のサーブを西岡選手がブレークする場面。ストローク戦で深いスピンボールを見事に決め、ナダル選手のミスを誘う。

0’20”付近から

西岡選手アドコートからの展開、ナダル選手のリターンが浅くなったと見るや、すかさずドロップショットを決める。あの驚異のコートカバー力を持つナダル選手もこれは返せない。

ナダル選手のコメント

西岡選手との試合後のナダル選手コメントが興味深い。

錦織選手と似たスタイルで困難だったか?の質問に対しては、錦織選手と同じようだったとは思わないという発言をしている。

確かに錦織選手と西岡選手ではプレースタイルはやや異なる。ナダル選手も語っていたが、錦織選手はより速い(これはフットワーク、ショットのタイミングなど総合的に意味していると思われる)、ボールの角度もよりある、といった主旨の発言だった。

しかし、これだけの試合をしたせいか、プレーは十分であるし、難しい相手だ、とも言っている。さらに順位を上げるにはサーブを改善する必要がある、との発言もあった。

すでに西岡選手はやるべきことはわかっているはずだ。大けがから復帰し、ツアーの感触も戻ってきているはずで、ここからはそれをベースにさらにトレーニングを積み、より一層の飛躍を期待したい。

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