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2021年 楽天 田中将大が誕生

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先日、メジャーリーグのニューヨークヤンキースで活躍していた田中将大投手(以降田中投手)が2021年シーズンから日本の古巣球団である東北楽天ゴールデンイーグルスへの加入が決定しました。

楽天時代には1シーズン23勝無敗、メジャーでは開幕投手を務めるなど圧倒的な活躍を見せてきました。今回の記事では田中投手がここまでの結果を残すに至った球種にスポットを当てました。

駒大苫小牧時代から2020年シーズンまでの変化球遍歴とともにこれからの日本プロ野球での展望についてもまとめます。

1.駒大苫小牧時代(高校生)

田中投手といえば現日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手と投げ合ったあの甲子園決勝は多くの人が見たことがあると思います。その白熱した試合を展開した当時の田中投手の球種はストレート、カーブ、フォーク、スライダーの4種類あったと言われています。

田中投手の当時の最高球速は2005年夏の大会京都外大西戦で記録した150キロです。そのスピードボールとの組み合わせで多投していたのがスライダーでした。

打者の手元で鋭く変化するスライダーは当時の田中投手の一番の決め球でした。実際プロ野球の入団前会見で当時田中投手を獲得した野村元監督は「彼のスライダーに惚れた」と語っています。

田中投手のスライダーは当時主流であった横方向にスライドするボールではなく縦にストンと落ちる縦スラと呼ばれるものでした。対戦校の多くは追い込まれる前に打つことを意識するほど脅威的な変化球でした。

他の球種はツーストライクまでのいわゆる「見せ球」として使われており田中投手はストレートとスライダーで勝負していたと考えられています。

田中投手の高校時代の三振集です。スライダーはこの頃からキレがすごいです。

2.楽天時代(日本プロ野球時代)

楽天へ入団した一年目の田中投手は、まずストレートを磨くという球団方針のもとトレーニングを重ねます。高卒新人史上2人目の選出となったオールスターゲームでは当時の自己最速を更新する153キロを記録しました。

ストレートで勝負できる田中投手の考えを変えたのは2009年のWBCで同じく選出された前田健太投手でした。

高校時代から球種の変化はあまりなかった田中投手は前田投手から100キロのスローカーブを学びました。同じく速球で押すタイプの前田投手から緩急をつけた投球術を学び田中投手はさらなる成長を遂げました。

2013年の交流戦では無死満塁のピンチで決め球にスローカーブを使用しておりスライダーと並ぶ田中投手の大きな武器になっていたことがわかります。

その他にもストレートと同じ速度でわずかに変化するツーシームやカットボールなどこれまで持っていた変化球をさらにレベルアップしたものが田中投手の持ち球として増えていきました。

ノーアウト満塁の場面で好打者今成選手に投じた決め球はスローカーブでした。まだ球速はありますが緩急を使った投球は捕手の嶋選手とのコンビで生きたものでもあります。

3.ニューヨークヤンキース時代(メジャーリーグ)

2014年にメジャーに挑戦した田中投手は移籍直後のシーズンにも関わらず13勝を記録します。この活躍の裏にはメジャーリーグ挑戦前に修得したスプリットが大きく関わっています。

スプリットは近年注目されているストレートと同じ速度で投げられる落ちる変化球です。

これまでの落ちる変化球の代表であった縦スラやフォークと比べストレートとの急速さは格段に少なく落差が大きいボールです。田中投手はこのスプリットを雑誌で見かけたファルケンボーグ投手(元ソフトバンク)の投げ方を参考にしながら習得しました。

楽天在籍時は実践で投げられる姿はあまりありませんでしたがヤンキース加入前のキャンプではスプリットを徹底的に磨く田中投手の姿がありました。

これまで同様ストレートで押すスタイルは変わりませんが追い込んでからはこれまでのスライダーに代わりスプリットを決め球として使用しました。

田中投手のスプリットは同じ高さでストレートを投げた場合と比べ約40センチ落ちると言われています。この変化量には多くのメジャーリーガーや地元メディアが絶賛の声を上げています。

田中投手がこれまで着実に変化球を磨いてきた成果がメジャーリーグでは存分に生かせたと言えます。

メジャーでのスプリット集です。大きな落差があり打者のスイングが流れてしまっています。

4.これからの田中投手について

田中投手は現在150キロ中盤のストレートと6種類の変化球を持ち球としています。しかし、メジャーリーグで田中投手の勢いは徐々に失速していきました。その原因はスプリットが効果的でなくなってきたという要因があります。

近年メジャーでは長打を打たせないために低めへのコントーロールが要求されることが多いです。スプリットはその流れに乗り決め球として有効なボールでしたがそれに対してメジャーではフライボール理論というものがささやかれ始めました。

フライボール理論とは低めのボールに対して極端なアッパースイング(すくい上げるような軌道を描くスイング)をすることを指しています。田中投手のスプリットも攻略されることが増え2020年シーズンでは打ち込まれるシーンが目立ちました。

しかし、私は田中投手が日本球界へ復帰することで再び活躍が期待できると考えています。その大きな理由は日本人とメジャーリーグの打者の意識の違いにあります。

先ほど述べたフライボール理論は実は日本でもすでに浸透した考えです。

ところが、すくい上げるように振るスイングはどうしても横の変化球や胸元のボールを打ち損じてしまいます。日本の野球ではいまだに空振りを良しとする雰囲気がなく逆にアメリカでは空振りを恐れず豪快なアッパースイングを心掛ける事ができます。

この違いは簡単に払拭できるものではないため田中投手の制球力とスプリットがあればこれからの日本球界での活躍は十分期待できると考えられます。

フライボール理論についての動画です。アメリカの先進的な野球を体現しています。



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