サッカー

マンチェスター・シティ 両偽サイドバックでチャンスを作ったシーンを解説

更新日:

こんにちは。
マンチェスター・シティ大好き松嶋俊です。

今回はTik Tokで解説したマンチェスターシティの試合映像の中から、サイドバックのポジショニングについて簡単ではありますが掘り下げていきたいと思います。


近年、ペップグアルディオラが作り上げたサイドバックの新定義である「偽サイドバック」やシティのカンセロの名前をとった「カンセロロール」なんてものもありますが、実際どんなポジショニングなのか?行う意図は?利点なんかも紹介できればと思っております。

あくまで私個人の主観ですので、様々なコメント、意見があって当然ですので、ひとつお手柔らかにお願いします!!(笑)

1.ビルドアップ時でのサイドバックのポジショニング

このシーンでは、シティが自陣からビルドアップ(組み立て)をする際のサイドバックの関わり方を抜き出してみました。

●ジンチェンコ


参照元:footballista

青い丸で囲った選手がシティの左サイドバックのジンチェンコです。

彼は母国の代表ではトップ下を任されるほど、足元の技術に長けているため、シティでは従来のサイドバックのように、ただ外側に張ってボールを受けるだけでなく、映像のように敵FWの脇や、背中にポジショニングしながら、味方CBのサポートをします。

そもそも内側に入ることで、どんな利点があるのか。

まず、味方ボランチを助けることが出来る。

シティのシステムは4-3-3が多く、中盤の配置的にどうしてもボランチが1枚になり、ビルドアップ時に右に左にとサポートに顔を出さなければいけないんですが、ここにサイドバックの選手が内側を取ることで、中央を2枚で構成することができ、ボランチを手助けすることができ、残り2人のMF(デブライネやギュンドアン)も、下がることなく前線に人数をかけた状態でビルドアップすることが可能になります。

次に、味方CBから、サイドハーフまでの外への『一つ飛ばし』のパスルートを確保できる。

映像でも分かるように、左のジンチェンコが中に入った際、ジンチェンコがいた左サイドのスペースに、味方CBのディアスが幅を取る形でポジショニングします。

そうすることで、CBのディアスから味方サイドハーフまでの外への長いパスルートを確保することができます。

このパスルートはジンチェンコが従来のサイドバックのように外に張った状態だと、敵のサイドハーフもジンチェンコをケアするために外側を意識するので生まれることはありません。

ジンチェンコが内側に入ることで、敵のサイドハーフが内側へのケアの為にポジショニングすることで初めて生まれるパスルートなのです。

逆に、敵のサイドハーフが、新しく生まれた外へのパスルートを気にして、そのまま外側にポジショニングしてしまえば、ジンチェンコがフリーになります。

サイドバックが内側のポジショニングを取ることで、ボールホルダー(CB)は『中と外の一つ飛ばし』2つのパスルートから侵入方向を選択することができるというメリットが生まれるのです。

映像の続きを見ていくと、内側に入ったジンチェンコとボランチのフェルナンジーニョがボールホルダーと上手く繋がりながら、スムーズにボールを動かしていますね!

サイドバックが内側に入った際の理想的なボールの動かし方だと思います。

2.右サイドバック(ウォーカー)の関わり方ビルドアップ⇒ゲームメイクへ

●ウォーカー

参照元:DAZN

ジンチェンコが上手く関わりながら、敵の守備組織を左サイドに寄せた状態から、逆の広いサイドで展開することが出来そうになった時、右サイドバックのウォーカーが猛然とスプリントしながら上がっていきます(青い丸)。

セオリーであれば、サイドバックが駆け上がる際、予想される展開は、味方サイドハーフの背中を追い越していく「オーバーラップ」でしょう。

ですが、ウォーカーの場合、いや、シティのサイドバックの場合、サイドハーフの背中を追い越していくプレーはあまり多くありません。

映像のように、内側を走っていく『インナーラップ』を選択することが多いです。

なぜこのランニングコースを選択するのかというと、シティのサイドハーフの選手たちは突破力がとてつもなく高い選手が多いからです。

マフレズや、トーレス、フォーデンなんかも、縦にゴリゴリ突破できてしまいます。

なので、背中を追い越していくランニングコースは、縦に突破していくサイドハーフにとっては逆に「邪魔」になってしまうのです。

なので、ウォーカーも、サイドハーフのマフレズの突破のスペースを壊さないため、なおかつ、マフレズが自分を使って「ワンツー」で縦に突破できる選択を持てるように、内側にポジショニングを取る選択をしたのだと思います。

しかし、マフレズは縦に突破せずに中へのドリブルを選択し、次の攻撃ポイントを探ります。

その際にウォーカーは外にポジショニングし直します。

私はこの「ポジション修正」がとても重要だと思っていて、中に入ったマフレズに対して再び外へのパスルートを確保してあげるために、ウォーカーのこのポジション修正はとても大事なのです。

これにより、マフレズの選択肢が増え、実際映像でも、外に張ったウォーカーに再びパスをして、前線へのアクションを開始できました。

ウォーカーのポジション修正がなければ、逆サイドに展開するか、バックパスしか選択できず、攻撃をやり直さなければいけなかったでしょう。

ジンチェンコとウォーカーのビルドアップとゲームメイクの際の関わり方が興味深いシーンでしたね!

3.まとめ

サイドバックが内側に入る利点は様々あります。

映像で紹介したビルドアップ時やゲームメイク時、それに突破の時などにも、シティのサイドバックたちは様々な「サイドバックらしくない」方法で攻撃に関わっていきます。

選手の個性でも関わり方は様々です。

ジンチェンコのような「器用」タイプはビルドアップ時により内側で良さを発揮し、ウォーカーや、カンセロのような「能力」タイプは突破時に内側で良さを発揮します。

ボールが移動中に、シティのサイドバックがどんなポジション移動をしているのか、目で追ってみるのもとても面白いです。

ただ、私自身も現役時代は左サイドバックでプレーしていて「サイドバックはサイドを駆け上がってなんぼでしょ!」と思っている自分もいます。(笑)

皆さんはどんなサイドバックが理想ですか?

-サッカー

Copyright© DAZN(ダゾーン)・スポナビライブ解説ナビ , 2024 All Rights Reserved.