25日にレースが行われたF1開幕戦オーストラリアGPはホンダにとってかなり厳しい結果となりました。テストが好調だっただけにこの結果にショックを受けたファンも多いようです。今回はなぜここまでテストと結果が異なったのか検証します。
進歩したはずでは?MGU-Hのトラブル発生
開幕戦ではブレンダン・ハートレー選手が最下位でゴールしましたが、ピエール・ガスリー選手はレース途中で白煙を上げてリタイヤしました。レース後チームからPUを構成するMGU-Hのトラブルであると発表がありましたが、ではMGU-Hとはどんなものなのでしょうか。
F1のPUは大きく分けて大本であるエンジンとターボシステム、運動エネルギーを電気エネルギーに変換するMGU-Kと、排気の熱エネルギーを電気エネルギーに変換するMGU-Hから成り立っています。
ターボエンジンはアクセルを踏んでから実際に加速するまでにターボラグと呼ばれるタイムラグがあり、そのラグの間にMGU-Hから発生させたエネルギーで加速させることによってラグを解消させるシステムになっています。
ホンダは参戦当初からこの2つのシステムが他のメーカーと比べて弱く、加速、最高速ともに後れを取っていました。特にMGU-Hのトラブルが多く、PUトラブルのほとんどを占めていたようです。アロンソが15年の鈴鹿で「GP2エンジン!」と発言したのはこの分野で劣り、まともに勝負ができないドライバーのいら立ちを表したものだったのです。
そんなホンダPUですが、今年はテストの段階では今までになく好調であり、最終日に小さなトラブルを起こしただけでした。それだけに今年のPUはルノーと同等かそれ以上ではないかといわれていました。しかし、いざ実戦となると上記のような結果となってしまいました。
なぜなのでしょうか。
原因の一つとして考えられるのがサーキットの路面の問題です。
ガスリー選手はリタイヤする前コーナーで若干オーバーランし、車体をコース外に落としていました。この時にMGU-Hの配管にトラブルが生じた可能性が指摘されています。
テストでは路面はスムーズに舗装されていましたし、ドライバーも特に縁石乗り上げやオーバーランはしていませんでした。公式発表がないので正確にはわかりませんが、もし原因がそれならばどこのサーキットでも起こりえることになります。
縁石への乗り上げや、コースを少しはみ出すのは少しでもタイムを縮めたいドライバーの本能から起こる結果です。いくらPUを守るためにそれらを禁止したとしても厳格に守れるドライバーは存在しません。
ホンダはこの問題を解決しない限り、遠くない未来にレッドブルから切り捨てられるでしょう。勝負できないPUなどどこのチームも望まないからです。
幸い、次戦の上海からは常設サーキットでのレースになるため、開幕戦よりは路面や宴席はスムーズになります。しかし4月末のアゼルバイジャンGPは市街地コースで荒れた路面と1部極端に狭い部分があったことで問題になったコースです。
この1ヶ月の間にホンダは改善させる必要があります。たとえシリーズで使用可能なPUは3基というルールを破っても。そうしなければ未来はないのですから。