テニスコメンテーターのTAMAZIです。活躍めざましい西岡良仁選手を追いかけています!早速始まった全豪オープンの試合内容を解説していきますので是非お楽しみください!
新年に入り、今年から始まった国別対抗戦ATPカップがテニスツアーの幕開けとして開催され、ここでも西岡選手は大活躍だった。
またスポーツウオッチャーというテレビ番組にも西岡選手が取り上げられ、注目度、人気も急上昇といったところだ!練習の合間には、ビジネス書を読んでいる姿や、試合後のインタビューの受け答えなどを見ていると、分析力に優れた非常にクレバーなプレーヤーの印象だ。
テニスは技術力、フィジカル力、サーブやストロークのスピードなどに目が行きがちだが、戦略がゲームの勝敗に非常に大きな要素を占める。ビッグ3や錦織選手はその最たるもだが、西岡選手は「クレバー力」に関して彼らに引けを取らない。
さあ、いよいよ今年最初のグランドスラム全豪オープンの開幕だ。初戦、西岡選手がどんな試合をしたのかお届けしよう!
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世界40位 ラスロ・ジェレ選手
全仏で錦織選手が3回戦で対戦、フルセットの大苦戦をした相手というと覚えている方もいるだろうか?セルビアの24歳ジェレ選手である。
東欧の選手らしく、フォアハンド・バックハンドともストロークに穴がなく、スピードも十分備えている。サーブも安定している。ランキングは世界40位、西岡選手から見れば「格上」の相手である。
ATPカップで世界29位のバシラシビリ選手を倒しているとはいえ、全豪は5セットマッチ、3セットマッチとは戦い方、タフさがまったく異なる。
まさに初戦から「難敵」との対戦であった。
ジェレ選手戦戦況1
西岡選手の基本戦略は変わらない。言い換えればはっきりとした「型」と持っているといえるだろう。ストロークでは自分の特長であるフォアハンドのスピンボール、バックハンドのカウンターショット(これが著しく成長している)を組み合わせ、サーブゲームでは特にアドコートでのポイント確率を上げるワイドサーブを基本に攻める。
チャンスとみるやネットをとり、ネットプレーで得点する。そして粘り強いディフェンスは、ツアー屈指のフットワークに裏打ちされ、相手が悲鳴をあげる。
対するジェレ選手は、ストロークは西岡選手のボールよりもやや直線的な軌道でフォアハンド・バックハンドとも攻めていく。バックハンドは高い打点から打ち込むことのできる技術を持っており、これがダウンザラインに決まればウィナーを量産できる。
ビッグサーバーではないが、ある一定レベル以上のサーブ力を持っている。一口に言えば高レベルでまとまった選手という印象だ。したがって対戦相手のパフォーマンスが落ちれば一気にゲームを持っていかれる恐れがある。
この両選手の対戦は、予想にたがわず素晴らしいストローク戦の展開となった。第一セットを1ブレークアップ 6-4で西岡選手が奪い、幸先の良いスタートを切る。
西岡選手のストロークで、最初に言えるのは、「ネットミス」が極端に少ないことだろう。当然エラーは出るわけだが、西岡選手のエラーは、ほぼ「アウトボール」であり、ネットに引っかけることが非常に少ない。
相手にウィナー級を打たれて返せなかった場合は当然ネットミスもあるが、「アンフォーストエラー」におけるネットミスがほとんどない。テニスプレーヤーの感情として(私TAMAJIもテニスをするが)、ネットミスは気持ちが落ちる。
そしてそれは次のプレー、ゲーム、あるいは試合全体に影響してしまう。西岡選手はこれを絶対に避けるべきという信念を持っている。
第一セットを奪った西岡選手、続く第二セットも先にブレークに成功、一気に主導権を握れる展開になった。しかし、試合後のインタビューでも語っていたが「相手のギアが落ちたところで、自分も落ちてしまった」と肝心のフォアハンドストロークでバックアウトを連発、このセットを逆転で失ってしまう。
ジェレ選手戦戦況2
1-1のセットオール、トイレットブレークから戻った西岡選手、このセットを取ることの重要さをひしひしと感じていたに違いない。
西岡選手のサーブで始まった第三セット、1ポイント目からそれまではなかった怒涛の攻めをみせる。サーブからの三球目を見事な深いアプローチ、そしてネットプレーであっという間ポイントを奪う。
ターニングポイントの第三セット、流れを一気に持ってこようという意志の表れだ。押されたジェレ選手は、2ゲーム目を西岡選手にブレークされてしまう。こうなると西岡選手はサーブも切れてくる。
続く3ゲーム目もキープ、対してジェレ選手はダブルフォルト、エラーを連発、4ゲーム目も西岡選手がブレークしてなんと4-0とリードする。
不運な形でのブレークバックもあった西岡選手だが、このセットの流れを完全につかみ、5-2のジェレ選手サーブでブレークポイントをまたもや握ると、ジェレ選手がたまらずダブルフォルトを犯してしまい、大事な第三セットを西岡選手が奪取してセットカウント2-1とリードする。
ジェレ選手戦戦況3
錦織選手とフルセット激闘を演じた実力者ジェレ選手、このまま黙っているわけではない。第四セットではフォアハンドへの回り込み、また西岡選手の高い弾道のボールを逆手にとって高い打点から打ち込むショットを打ち始める。
せっかく自分からのサーブゲームとなった第四セットだが、立ち上がり1ゲーム目を西岡選手が落としてしまう。これはすさまじいブレーク合戦となった第四セットの序章であった。
ジェレ選手が西岡選手サーブを破ること3度、その3度とも直後のゲームで西岡選手がブレークバックして追いついている。
そして最大のピンチは4-4で迎えた西岡選手サーブゲーム、ここまでの激闘でサービスにやや疲労感の見える西岡選手、サーブの切れが落ちている。そこへジェレ選手の強烈リターンを受け、特に15-30で迎えたポイントは大ピンチとなるが、驚異の粘りを発揮してジェレ選手の信じられないようなボレーミスを誘う。
そしてこの試合を通じて絶好調であったバックハンドのダウンザラインウィナーが決まってこのゲームを何とかキープした。これが大きかった。
第四セットはジェレ選手が押し気味であり、通常の流れではジェレ選手のものであっただろう。それを取り切れなかったジェレ選手は、タイブレークに入って少し気持ちが「抜けた」状態に陥る。
ここを西岡選手は逃さない。粘りの真骨頂を発揮、フォアハンドダウンザラインの鮮やかなショット、そして一気に決める怒涛の攻め、ジェレ選手はなすすべもなく、タイブレークは7-1で西岡選手に凱歌があがり、それはこの試合の勝利を決定づけた。
さあ2回戦進出、次の試合も期待大だ!
映像分析
(0’00”~)
第一セットの西岡選手サーブでのセットポイント場面では、ワイドサーブからの基本展開で見事ポイントを奪い、このセットを奪取!
ところが続く第二セット西岡選手サーブではブレークのピンチ、基本に立ちかえってアドコートワイドサーブから相手バックハンドを狙う戦略に出るも、ジェレ選手のバックハンドストローク能力の高さでポイントを失い、ブレークされてしまう。
(1’30”~)
ジェレ選手の自滅気味で第三セットを奪った西岡選手、第四セットでは先にブレークを許す苦しい展開。その要素となった場面。西岡選手ブレークポイントで、再びワイドサーブからの展開、良いショットを打っていたが、ジェレ選手がコート深いところから素晴らしいバックハンドショットコントロールでパスされてしまう。ジェレ選手対応力で西岡選手基本戦略でのポイントが半分程度しか取れていない。
何とかタイブレークに持ち込んで勝利した西岡選手だが、ジェレ選手の途中ペースダウンがなければわからない試合だった。
今日の西岡良仁
西岡選手はTwitterや自分のYou tube チャンネルをアップしている。西岡選手の日常などが垣間見えて、とても面白い。
今日は、ATPカップ当時のオフのひと時、西岡選手がマクラクラン勉選手と卓球を楽しむ動画をご紹介しよう。
テニスのトッププレーヤーが卓球をやったら、どんなプレーになるのか?興味津々だ!
実はこれが、相当上手い。「テニスの卓球化」がよく言われているが、ある面似てきているのかもしれない。ずっと昔は、テニスがうまくなりたければ卓球はやるな、といわれたものだが・・・
動画はこちら→
(どこかに観光に行った動画に続き、4’22”から卓球が始まる。)