テニス

2020全豪3回戦 西岡良仁選手 VS 選手 分析してみた~シリーズ⑩~

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テニスコメンテーターのTAMAJIです。西岡選手がグランドスラムにおいて初めて3回戦に進出、あのジョコビッチ選手と対戦しました。今年に入ってから、たびたび自分よりも上位の選手を倒してきた西岡選手、いよいよ世界最高峰の選手との対戦となりました。

西岡選手の戦略は通じるのか、ジョコビッチ選手の顔色が変わる場面があったのか、2020年全豪3回戦を振り返ります。

ジョコビッチ選手

悪夢の2017年後半から、2018年ウィンブルドンで見事に復活、フェデラー選手、ナダル選手に続く復活劇は、再び「ビッグ3」の牙城をさらに堅牢なものにしてしまう。2017年、2018年、2019年とグランドスラムタイトルは、再びすべて彼ら3人のものとなっている。

この間の12度のグランドスラムは、ナダル選手が5回、ジョコビッチ選手が4回、フェデラー選手が3回の優勝を分け合っている。彼ら以外のグランドスラム優勝は2016年全米オープンのワウリンカ選手までさかのぼらなければならない。

超一流の選手が集まっているATPツアーの中でも、ジョコビッチ選手が他の選手を圧倒するのは、ナンバーワンともいえるフットワーク、よもやの体勢からも返球可能な身体の驚異的な柔らかである。加えてショットの読みの大変高い確率は、99%相手のポイントである場面をひっくり返してしまう。

そしてショットを打つタイミングは常に相手よりもコンマ何秒か早い印象がある。まるで相手が止まっている間にジョコビッチ選手が動き、ショットを打っていると思えるほどだ。超高速のショットも打てるはずだが、それを八分程度に抑え、ピンポイントのプレースメントと早いタイミングで相手はミスをさせられて失点してしまう。

これをベースに試合を優位に持ってくるジョコビッチ選手は、追い打ちをかけるようにサーブ、ドロップショット、ネットプレーをほぼ完ぺきな組み立てで攻めてくる。攻撃をされても、相手はウィナー級ボールを何球も続ける必要がある。

どこを見てもスキのないジョコビッチ選手は、全体のレベルをじわじわとさらに上げている感すらある。そして西岡選手戦でみせたのは、驚くべきサーブの向上だ。

ジョコビッチ選手戦戦況1

西岡選手はサウスポーであるからして、ジュースコートのワイド側がバックハンドとなる。西岡選手のサーブキープ基本戦略はアドコート側へのワイドに切れるサーブだが、ジョコビッチ選手はこれを鏡写しのように実践する。

これは西岡選手を同じサウスポーであるナダル選手との対戦でみせる戦略の一つだ。ジュースコートワイドへ極めてスピン量の高いスライスサーブをできるだけ浅めに落とし、外へ逃がす。これによりリターナーは完全にコート外に押しやられ、そこへしかもタイミングの早い次のジョコビッチ選手のショットが待ち構えている。

これを基本にしていけば、サーブキープの確率は極めて高くなる。

西岡選手戦の第一セット1ゲーム目、最初のサーブでジョコビッチ選手はまずそれを示した。極論を言えば、この最初のジョコビッチ選手サーブゲームでこの試合の行方がほぼ決まってしまったといえるかもしれない
 

ジョコビッチ選手戦戦況2


(出典;YOSHIHITO NISHIOKA TWITTERより)

研究熱心である西岡選手は、対ジョコビッチ選手戦戦略を練りに練って試合に入ったに違いない。先ほどあげた、アドコートにおけるワイドサーブと、ジョコビッチ選手フォアハンド側へのバウンドの高いスピンボール、そしてバックハンドクロスショットを中心に、チャンスとみればネットをとっていく。

ジョコビッチ選手と同じセルビアのジェレ選手が1回戦で西岡選手と対戦している。ジェレ選手のストローク能力の高さはジョコビッチ選手も当然知っているわけで、そのジェレ選手が展開力で西岡選手に敗れ去っている。

ジョコビッチ選手といえども、西岡選手のペース、すなわち「ラリー戦」からの展開テニスにあまり持ち込みたくない警戒感があった。もつれると厄介になる、優勝を目指すジョコビッチ選手としては、3回戦あたりであまりスタミナを消費したくない、そんな思いもあったであろう。

ラリー戦に持ち込めない。西岡選手の試合ペースとして、自身のサーブをブレークされることは、1セットに1回程度織り込み済みだ。もちろんブレークされないに越したことはないが、リターンゲームでラリー戦に持ち込みさえすれば、自分が優位に立てる自信があるからだ。

しかし、自分のサーブゲームで何とかラリーから展開するのがやっとで、ジョコビッチ選手サーブゲームはほとんどチャンスがない。出だしでペースをつかまれた西岡選手は、3セットとも絵に描いたように同じようなゲーム展開で追い詰められていく。

ジョコビッチ選手戦戦況3

ではジョコビッチ選手のサーブのどのあたりがさらに向上しているのであろうか?

もともとビッグサーバーではないが、2011年ジョコビッチ選手覚醒のころにサーブのフォームを改造、それまで大事なポイントでダブルフォルトするケースが目立っていた弱点を克服した。

安定感のあるサーブは超一流、ここぞというときのサービスエースは相手にダメ押しを与える重みがある。それがさらにブラッシュアップしているのである。

この全豪オープンにおけるジョコビッチ選手サーブは、一つはプレースメントの向上だろう。ピンポイントのサーブを打つ選手としてフェデラー選手が有名だが、フェデラー選手に引けをとらないプレースメントをみせている。そして通常は回転をやや重視し、確率優先だが、時折見せるセンター付近へのサーブはスピードが上がっている。ジョコビッチ選手がさらにサーブ力が上がったとなると、まさに無敵に状態になるだろう。

西岡選手の一つの課題は、サーブ力にあるが、この試合はそのサーブ力の違いを見せつけられた形となった。各セットとも前半のうちにジョコビッチ選手が西岡選手サーブをブレーク、優位を保った形で試合を進め、常に余裕を持たれてしまう状態になってしまった。
散発的に、西岡選手もよいプレーをみせ、ジョコビッチ選手からウィナーを奪う場面もあった。しかしそれが続かず、またあまりにもチャンスが少なすぎた。西岡選手としてはもう少し善戦できる自信があったであろうが、今回はまさに完敗を喫してしまった。

しかし、西岡選手はここで引き下がるような選手ではない。グランドスラム初の3回戦進出、自身も語る通り、今年に入って敗戦したのはナダル選手とジョコビッチ選手のみ、他の選手にはすべて勝利している。20~50位クラスの選手に勝利する実力を十分につけている。

今年のツアーは始まったばかり、その分析力を駆使し、テニスレベルの向上も相まって、大いなる飛躍の予感を感じさせる全豪であった。

映像分析

(0’00” ~)
第一セット 立ち上がりからジョコビッチ選手のサーブゲームに全く付け入るスキがない。早々に西岡選手がサーブゲームをブレークされてしまい、2-5で迎えた8ゲーム目、ジュースにもつれ込むもここは西岡選手の意地、見事フォアウィナーを決める。

(0’28”~)
第二セット 2-4の1ブレークダウンで迎えた西岡選手サーブ、0-15から西岡選手としてはポイント確率の高いアドコート、ほぼ思惑通りじわりじわりと振っていく作戦だったが、相手を追い出す角度のあるショットにジョコビッチ選手はクロスへドロップショット。

今までの対戦相手にはないショットでノータッチウィナーを取られる。このラリーは西岡選手の自信を揺るがせた。

(1’32”~)
マッチポイントの場面、ジョコビッチ選手のサーブに対して西岡選手のやりたかったことを最後まで貫いているのはさすがだ。ジョコビッチ選手バック側に高い深いボール、バックハンドはクロスへ鋭く、しかしジョコビッチ選手の返球が甘くならない。

最後は西岡選手フォアハンドがサイドラインを割り、万事休す。

今日の西岡選手

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