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西岡 良仁選手ATP250ニューヨークオープン2回戦はオペルカ選手に惜敗

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テニスコメンテーターのTAMAJIです。2020年ATPツアーは各地で熱戦の火ぶたが切られています。ニューヨークオープンにエントリーした西岡選手、初戦を見事に勝ち上がり、2回戦で前年優勝者ビッグサーバー オペルカ選手と激突しました。

年明けからの好調さで、この難敵にどう立ち向かったのか、さっそく分析しましょう!

オペルカ選手

ニューヨークオープンは2018年から新設された大会で、テネシー州メンフィスで行われていたメンフィスオープンが前身である。メンフィスオープンという大会名は聞き覚えのある読者も多いと思うが、錦織選手が2013年から2016年まで4連覇を果たしたゲンのいい大会だった。

あの名作ギター ギブソン発祥の地ということで、優勝者にはギターが贈呈され、ギターを掲げて喜ぶ錦織選手の画像は印象深い。

ニューヨークオープンとなってからは2018年アンダーソン選手、そして昨年2019年は今回の西岡選手の対戦相手オペルカ選手が優勝を果たしている。これがオペルカ選手にとってツアー初優勝であった。

オペルカ選手は身長211㎝、体重102㎏、ツアー屈指のこの大型選手は、その体躯から繰り出される強烈なサーブでエースを量産する。ランキングは40位、年齢は22歳と若い選手である。

アメリカのビッグサーバーとしてはイズナー選手が有名だが、早くも34歳、同タイプの選手としてまた208センチのイズナー選手身長をさらに上回るオペルカ選手がそのあとを追っている。

グランドスラムでの実績はまだまだこれからだが、昨年のニューヨークオープンにおけるツアー初優勝で自信を深めていることは間違いない。

西岡選手のような、ラリー戦からの展開テニスを身上とするプレーヤーにとって、何もさせてもらえずポイントを奪われるビッグサーバーは難敵中の難敵である。ただし、一旦リターンが返れば、他のタイプの選手よりもポイントチャンスは高まるかもしれない。

(西岡選手公式ツイッターから引用「肩まで?いや胸までだ!」)

オペルカ選手戦戦況1

錦織選手も同様の試合展開をみせるが、ビッグサーバー相手の場合、自らのサーブゲームをキープすることはまさに「必須」である。一つのブレークが命取りになりかねない。それだけ相手サーブをブレークするチャンスは希薄である。

多少のブレークがあっても、ストローク力・展開力に自信を持つ西岡選手はそれを上回るブレークをして、また自身のサーブゲームが好調なら相手を完璧に抑え込む試合をしてきた。

しかしビッグサーバー相手の場合は、まずタイブレークを覚悟しなければならない。
逆にビッグサーバー側もタイブレークに持ち込んで勝利する方程式をいつも持っている。

第一セット、オペルカ選手のファーストサーブ確率は、なんと71%、この数字はサーブが好調であったと言わざるを得ない。長身からの角度のあるサーブは、スピードは210-220キロを超え、これらがセンター、ワイド、ボディなどに打ち分けられるのであるから、70%もの確率で入れられたら、ブレークは至難の業である。

対する西岡選手ファーストサーブ確率は何と87%、すさまじい数字である。しかし西岡選手はサーブ力に頼るタイプではない。どうしても1セットの間には、ピンチが訪れる。

3本のブレークポイントのうち、1本を決められてブレークを許し、このセットは4-6で落とす。

試合のデータをみてみると、西岡選手も2度のブレークチャンスをつかんでいる。どちらもセーブされてブレークはならなかったが、まさに紙一重の試合だったことがわかる。惜しむらくはタイブレークまで持ち込めなかったことだろう。

ビッグサーバーはタイブレークに強いが、それでも「ブレーク」と「ミニブレーク」の差は大きい。これは諸刃の剣ではあるが。

オペルカ選手戦戦況2

第二セットに入って、オペルカ選手のサーブはさらにすごみを増してしまった。オペルカ選手が放った第二セットにおけるサーブは27本、なんとそのうち20本はファーストサーブが入っている。

そのうちサービスエースは11本、つまり半数以上はラリーにならずオペルカ選手のポイントとなったわけだ。そしてファーストサーブをリターンできたとしても、西岡選手が取れたポイントは何と1本だけであった。

これだけのサーブを見せつけられながら、西岡選手は2度のブレークチャンスをつかんでいる。オペルカ選手の僅かなスキ、数少ないセカンドサーブでチャンスを作ったわけだ。

この集中力がビッグサーバーを倒す必須条件だ。それを西岡選手はすでに持っているといえる。

結局、西岡選手はこの2本のブレークポイントをセーブされ、自身のサーブゲームでは再びファーストサーブ確率80%という高い数字を残しながら、惜しくも1ブレークを許して再度4-6で惜敗する。

もう一歩、しかしこの大会も上位へ進出するだろう前年覇者の難敵とこれだけの試合をした西岡選手の実力は、もう間違いない。デルレイビーチに期待だ。

今後の西岡選手課題は?

実力をメキメキと上げている西岡選手だが、今後のツアー大会、グランドスラムで勝ち上がっていけばどこかで今回のオペルカ選手のようなビッグサーバーにぶつかる。では西岡選手はどういった点を強化すれば、このようなタイプの選手に勝利できるのだろうか?

西岡選手に勝利したオペルカ選手は結局次戦で敗退となった。またいずれもビッグサーバーの第一シード イズナー選手、第二シード ラオニッチ選手は何と初戦敗退している。ではその敗戦したスコアをみてみよう。

オペルカ選手;7-5 / 4-6 / 4-6 (対Jung選手 119位 身長180センチ 30歳<台湾>)
イズナー選手;6-7 / 7-6 / 3-6(対トンプソン選手 65位 身長182センチ 25歳<オーストラリア>)
ラオニッチ選手;7-6 / 6-7 / 4-6(対Kwan選手 82位 身長180センチ 22歳<韓国>)

タイブレークが4セット、1ブレーク差が4セット、すなわちタイブレークに持ち込んでそれを奪取することが、ビッグサーバー相手に勝利する必須条件といえる。また粘り強くサーブゲームをキープし、虎視眈々とブレークチャンスを狙う、そんな構図がみえてくる。

高いサーブ能力を持つビッグサーバーとはいえ人間、調子がダウンしているときもある。セカンドサーブが増えてきた時のポイント奪取、これもカギだろう。

今大会でビッグサーバーを破った3選手はいずれも小柄の部類、ランキングも西岡選手と同等か低い。そういった選手たちでもビッグサーバーを破るチャンスがあるということだ。そして結局この選手たちも決勝には進めていない。またこれらの選手と西岡選手が対戦すれば、かなりの確率で西岡選手が勝利する可能性が高い。

したがってこういったビッグサーバーを破ることは、西岡選手には十分に可能と考えられる。今後の西岡選手課題としては、タイブレークを勝利する戦略、そしてなんといってもサーブゲームのキープ率向上だろう。サーブそのもののブラッシュアップ、つまりスピン量、スピード、コースなどの質をさらに高めていく必要がある。そしてネットプレーやドロップショットをからめた多彩な攻撃で、サーブゲームを死守すること、これがビッグサーバー相手勝利への絶対条件だ。

頭脳明晰な西岡選手のこと、このオペルカ選手戦敗戦を受けて、すでに頭の回路はフル回転していることだろう。

今日の西岡選手 ツイート

https://twitter.com/yoshihitotennis/status/1228118268017356801

西岡選手はオペルカ選手の肩までというツイートに、「肩じゃない、胸までだ」とのコメント多数!!次はデルレイビーチ、健闘を祈ります!

wowow

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