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錦織圭に勝利後、デルレイビーチ大会で準優勝。西岡選手の強さに迫ってみた

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テニスコメンテーターのTAMAJIです。西岡選手が、昨年錦織選手を倒して以降、また2020年に入ってからも急成長を遂げています。自分よりもはるか上位の選手に対して連戦連勝、大活躍です。そしてデルレイビーチ大会では決勝進出を果たし、オペルカ選手に惜敗したものの、もう一歩でした!

西岡選手が錦織選手戦以降、どんなところがレベルアップして今のこの活躍につながっているのか、とても興味をそそられるところです。

大躍進の要因

西岡選手躍進の秘密は!

コロナウィルス騒動で、北米のマスターズ2大会が中止、テニスツアーにも大きな影響を及ぼしている。一刻も早く収束、通常復帰を願うばかりだ。西岡選手もデビスカップを回避してまでインディアンウェルズを目指していたのだから、さぞかし残念であったろう。

しかし、ここで止まっているわけにはいかない、世界は動いているはずだ。本来、インディアンウェルズ大会真っ盛りのはずだった今、自己最高位のATPランキング48位、今シーズン大きくジャンプアップし、50位以内入りを果たした西岡選手にスポットを当て、その躍進の秘密に迫る。

1)バックハンド

プロの試合になると、ウィナーを取るのは至難の業である。ATPツアーを回っているプレーヤーであれば、強靭なストローク力を持ち合わせており、それが「超強靭」なのか「強靭」なのかの差である。

ラケットなどのツールの進化、研究され続けているトレーンイグメソッドの向上、それに伴いタフなフィジカルを作り上げることが可能であり、ストロークスピードはどんどんと上がっている。

 しかしそんな中でもプレーヤーはウィナーを1試合に相当数取ってくる。プロレベルといえども「テニスはミスのスポーツ」という潮流は否めないが、これだけのハイレベルの中でウィナーを簡単に奪う場面も見受けられる。

戦略、展開、詰め将棋のように相手を追い込んでいき、そしてウィニングショットを叩き込む。西岡選手はまさにこういったタイプのプレーヤーだ。そして西岡選手はバックハンドで、そのウィニングショットとしての決め球を打っているケースが今年は多くみられる。

明らかに西岡選手のバックハンドが威力を増している。元来、ダブルバックハンドでタイミングの早いショットが得意であった西岡選手だが、さらにタイミングが早くなり、かつスピードと切れ味が増している。

全豪オープン2回戦の対エバンス選手戦、随所に西岡選手のバックハンドが炸裂している場面がみえる。クロスが今のところ主体だが、相手をほぼ崩し切ったウィナー級のスピード豊かな切れ味鋭いショットで、その返球を簡単にボレーで決めている。このエバンス選手戦では、バックハンドダウンザラインへの好ショットもみせている。

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2)サーブ

決して速いサーブを持っているわけではない。小柄な体格からして、サーブ一本でポイントを稼ぐタイプではない。しかし今シーズンの西岡選手躍進の要因として、サービスキープ率の向上があげられる。

西岡選手のサーブは190キロに満たない。200キロ超のサーブが当たり前のように炸裂しているツアー現状からいって、はっきり言って遅い。しかし、今シーズン西岡選手のサーブは回転量が上がっている。

まず、アドコート側からのワイドへのサーブを打って相手をコートから追い出し、3球目攻撃でオープンコートへウィナーを決める。テニスはワイドになればなるほど、よりクロスに返球が来やすくなる。

したがって相手リターンショットは西岡選手のフォア側に来る場合が多い。しかも右利きプレーヤーにとってアドコートのワイド側はバックハンドになり、リターンがさらに難しくなる。よりワイドにサーブが入れば、西岡選手は楽にポイントを取れる。

アドコートでのポイント確率を高めること、サウスポープレーヤーの有利さを最大限活用した基本戦略だ。0-15、15-30、30-40と先行された場面でも、相手がどうしようもなくなる所へサーブを打てば、高確率で挽回できる。逆に40-30やアドバンテージを取ったポイントではゲームを奪取する確率が高い。

この「ここに、はまれば間違いない」という型を持つことは非常に重要だ。ピンチになればその基本形にまず戻り、立て直していくことが可能だからだ。チャンスとなれば相手を一気に突き放すこともできる。

これを基軸として、時折センターへのサーブを混ぜていけば、スピードはなくともエースを取れる。つまり「読み」を外すわけだ。こういった駆け引きに西岡選手は抜群にたけている。

時にはセカンドサーブでエースを奪う場面すらある。

懐の深い相手、リーチのある相手との対戦では、これを崩される可能性がある。そこで西岡選手はスピードよりもまず回転量を上げることを狙った。スライス回転なら、よりワイドに逃げ、またボディーサーブなら相手の身体により食い込む極めて返球しづらいサーブを磨き上げてきた。

2020年全豪1回戦の対ジェレ選手戦、最後のマッチポイントを決めたのは西岡選手の基本戦略であるアドコートのワイドサーブ、西岡選手サーブ力ブラッシュアップをまさに証明した試合だった。

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3)フットワーク

西岡選手はツアーでも屈指のフットワークを持つ選手だ。世界ナンバーワンに君臨するジョコビッチ選手が、警戒するプレーヤーを上げるときはいつもこのように語る。

「彼は動きが速い、危険なプレーヤーだ」

ジョコビッチ選手は、サーブの速さや、強烈なストロークについて警戒すると語ることは少ない。おそらくどんなスピードボールでも、手の届くところに自分がいれば、高い確率で返球できる自信があるのだろう。

事実それを物語るのは、ジョコビッチ選手はビッグサーバー選手に非常に強い。ファーストサーブでエースを取られるのを織り込み、リターンの確率をどれくらい上げられるか、また相手セカンドサーブにおいてポイントをどれくらい奪えるかに集中し、「リターンさえ返せば高い確率でポイントを取れる」自信がそれを裏打ちする。

イズナー選手などストローク力もすごい選手はいるが、まず「動き」でジョコビッチ選手に負けてしまう。ラリーになるとかなりの確率でポイントはジョコビッチ選手のものとなる。

そのジョコビッチ選手が警戒するのは、「自分よりも動きの速い選手」だ、こちらの方がジョコビッチ選手にとっては厄介だ。それはジョコビッチ選手の生命線が、相手よりもコンマ何秒かわずかに早くボールを打てる場所に動けることだからだ。

これがいまだ世界一に君臨、ほぼスキが見当たらない牙城を築いている要因といっていい。

ジョコビッチ選手が速い選手を警戒するのは、その生命線が破られるためだ。西岡選手はその可能性を持っている選手の一人といってもよいだろう。靱帯損傷という選手生命の危機ともいえるケガを乗り越えた西岡選手、本人もケガ前の状態の動きにようやく戻ってきたと示唆している。

フットワークなら絶対に負けない、本来の動きを取り戻した西岡選手、これに前述のバックハンド、サーブの向上がプラスされているわけだから、大変厳しいATPツアーで上位ランカーを次々に破りキャリアハイを達成しているのもうなずける。

デルレイビーチ大会決勝、西岡選手はオペルカ選手に惜敗したが、この巨漢選手に対しては、フットワークで圧倒した。随所に西岡選手がオペルカ選手を翻弄する場面がみられる。

強烈なサーブ、ストロークに敗れたといえば一言だが、オペルカ選手もかなりミラクルなショットを打っている。サーブだけではなく、そういった面のアドバンテージを持たないと西岡選手がこの強敵に勝つ日も近い。

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まとめ

今回は、西岡選手の躍進の秘密について迫ってみました。

50位以内を達成した西岡選手、ここからが正念場だ。オペルカ選手に連敗したように、ビッグサーバーへの対策は、まず当面の課題だろう。大会のどこかでビッグサーバータイプのプレーヤーに対戦することは当然出てくる。

西岡選手への期待は更に高まっている。現状の試合ぶりに、ストロークではダウンザラインショットがさらに磨かれていけば、ナダル選手のように回転+スピードを上げたサーブを身につければ、ネットプレーがさらに進化すれば、そう考えると非常に楽しみである。

コロナ騒動が一刻も早く収束されることを願いつつ、ツアーで、そして代表はまだわからないが東京オリンピックでの西岡選手雄姿を期待したい。

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